ゆとり世代から見たZ世代

ゆとり世代。世代間ギャップや新しい時代のマネジメントを考える

Z世代のモチベーションは「今、目に見えるメリット」

多くの会社で、若手とのキャリア面談のような制度があると思う。あなたはそこで、こんなことを質問していないか?

・どんなキャリアプランを描いているか

・10年後、20年後にどんな風になっていたいか

・どんな夢があるか

 

この手の質問は正直なところ、多くの若手にとってはピンと来ないものだと思う。なぜなら、将来の目に見えないメリットの話をしているからだ。

 

ゆとり世代やZ世代は、変化の激しい時代を生きてきたからか、「今」「目に見える」メリットを大事にする傾向にある。

キャリアプランより今の仕事が楽しいか否か

・10年後20年後より今の自分の姿

・夢より現実性(経済的/精神的な安定)

を重視する人が多い。

 

だから、将来のキャリアや希望を聞き出そうとしても響かないし、将来を保証しても若手のモチベーションには繋がりにくい。最悪の場合人材流出にもつながる。

 

将来のことを聞くのは大事だが、同じくらい「今」のことを聞いてみて欲しい。

・今の仕事は楽しいか

・今の自分の姿は納得のいくものか

・今の給料や待遇に満足しているか

 

今のことを聞いてもらえることは若手にとって凄く嬉しい。キャリアの話をするより仕事を褒められた時の方がやる気がでる。「今目に見えるメリット」といっても別に給与待遇だけではなく、そんなことでもモチベーションになるのだ。

 

 

 

管理職世代は「広げる」のが得意。Z世代は「深める」のが得意

僕の感覚でしかないのだけれど、

管理職世代…「広く浅く」が得意

Z世代…「狭く深く」が得意

な傾向にある気がする。

(もちろん、人によることは百も承知)

 

例えば同じ課題図書を読んでプレゼンをする時、管理職世代はその本の全章のストーリーを要約したうえで見解を述べる方が多い。逆にZ世代はその本の印象に残った1章をピックアップして、それについて深掘りする方が多い気がする。

 

僕自身は「狭く深く」のタイプだ。サッカーや野球など好きな事には詳しいが、興味のないことには全く興味がない。同世代や後輩を見ても、そのタイプが多い気がする。

 

「狭く深く」の人間は確かに扱いにくい。大事なのはその人のそばに「広く浅く」のタイプの人間が常にいる状態にすることだ。

 

というのも、「狭く深く」のタイプの人間に必死に教えようとすればするほど、その人は興味を無くしてしまう。僕がそうだった。

 

僕が幸運だったのは、同じチームに「広く浅く」タイプの先輩がいたことだ。その人と一緒に仕事をし、資料の作り方や情報の集め方を真似することで、引き出しが増えて視野が広がっていった。

 

繰り返すが「狭く深く」タイプは教えようと追いかければ追いかけるほど逃げてしまう。だから違うタイプの人間をそばに置いて、その人の何かを真似し始めるまで待ってみる方がいい。

 

教えられたことよりも、誰かを真似して身につけたことの方がよく覚えているし愛着がある。「狭く深く」の人間はそういうことにのめり込むパワーは凄まじいのだ。

 

 

 

 

Z世代の根性は凄い

部活のスポーツやプロのスポーツの世界でも「根性論」からの脱却が目指されることが増えた。

 

気になるのだが、「根性」はダメなものだろうか?

 

僕は「根性」のある人は好きだ。もし企業の採用担当だったとして、スキルや能力は全く同じで根性の有無が唯一の差なら、根性のある方を選ぶ。(そんなドッペルゲンガーみたいな就活生は存在しないだろうが)

 

Z世代は僕はすごく「根性」があると思う。仕事でも、スポーツでも、ゲームでも、一つの事や自分の決めたことに対して、納得がいくまで突き詰める姿勢が凄い。僕はそういった物事を突き詰める気力こそ、「根性」だと思っている。

 

そういう「根性」は自分の中から出てくるもので、人から受け取ったりすることは決してできない。その法則を無視して、根性を出せ/根性があれば何でもできると強制する「根性論」は僕は嫌いだし、問題になってしかるべきだと思う。

 

物事に熱中する力は誰でも持っており、それこそが根性なのだから、上司や先輩の仕事は、その人をよく観察して、熱中できる仕事や環境を与えてあげることだと思う。

 

 

 

 

ゆとり世代の僕は、パワハラを「上下関係を利用して理不尽を押し付けること」と定義した

ここ数年でパワハラがだいぶ問題になった。

 

今や、ちょっとしたことでもパワハラになるんじゃないかとビクビクしている人も多いらしい。パワハラの定義も曖昧になってきた。

 

僕が考えるパワハラの定義は、「上下関係を利用して理不尽を押し付けること」だ。

 

僕の歴代上司の中には怒ると怖い人もいたけど、理不尽なことは一切言わない人だった。怒るポイントや内容は筋が通っていたし、こちらの意見もきちんと聞いてくれたから、「この人は上下関係があるからではなく、同じ仕事をする仲間だから厳しく接してくれるのか」と納得していた。

 

一方で、立場を利用して意味のない残業を強制したり、人格を攻撃したり、お酒を飲むことを強制するのは立派なパワハラだ。そこには、立場を利用した理不尽の押し付けがある。

 

そもそも、恐怖で人を縛ろうとする人を僕は怖いと感じない。

むしろ自分を信頼して仕事を任せてくれることの方が、楽しいけどすごく怖い。

この信頼を裏切れないと必死になるのがきついけど楽しい。

 

正直に言う。恐怖を利用して部下を動かそうとしている人がいたら、今すぐやめた方がいい。部下はあなたを怒らせないことだけを考えて、何もしなくなる。

 

Z世代が嫌いなのは飲み会ではなく、気を遣うこと

「若い人が飲み会に来ない」

 

数年前からそんなことが言われるようになった。

世代間ギャップを象徴するワードのひとつだ。

 

でも僕の同世代や後輩の世代でも、お酒が好きで、飲み会が好きな人はいっぱいいる。

 

僕が思うに、彼らが嫌っているのは飲み会ではなく「気を遣うこと」だ。

 

偉い人のグラスが空いてないか気にしたり、

上司の話を面白そうに聞かないといけない気がしたり、

そういう「気を遣う」ことが嫌いなだけだと思う。

 

だから飲み会云々ではなく、気を遣わなくていい関係を築くことが大事な気がする。

そもそも、下が上に気を遣うことがデフォルト化した組織は、自浄作用がなくなり必ず崩壊する。

 

部下や後輩を飲み会に呼ぶことにリソースを割くより、気を遣わなくていい関係を築くことに集中する方がよっぽどいい。

 

気を遣わなくていい関係を築けたら、最初は飲み会に来なかった後輩と、お酒を飲んで語り合える日が来るかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

ゆとり世代も気づけば20代後半

僕はゆとり世代

 

小学生の時、ゆとり教育がはじまり、教科書が薄くなった。

中学生の時、学力が低下したと、ニュースで話題になった。

高校生の時、ゆとり教育が終わり、教科書が分厚くなった。

大学生の時、体罰パワハラが社会問題になり、世代間ギャップが浮き彫りになった。

そんな世代。

 

そして今、ゆとり世代は20代後半~30代。

次の世代は「さとり世代」や「Z世代」と呼ばれている。

そんな後輩たちに教育する機会も増えてきた。

 

そういった若い世代との向き合い方に、今30代~50代の方は苦労しているらしい。

僕はどっちの気持ちもわかる。僕たちゆとり世代は、そんな世代間ギャップの懸け橋になれるんじゃないか。

 

そう思ったから、僕が日々の仕事の中で、感じたことや考えたことを、僕なりの言葉で書いてみようと思う。