ゆとり世代から見たZ世代

ゆとり世代。世代間ギャップや新しい時代のマネジメントを考える

流行りのお洒落な言葉ではなく、独自の哲学にこそ人はついてくる

"思考停止ワード"には気をつけろと先輩から教わったことがある。

 

会議の結論が「これからも方向性を検討する」になったり、部下への指示で「もっとあるべき姿を描いて」のようなワードが出たら気をつけた方がいい。

 

「あるべき姿」とか「方向性」とか「戦略」とか言葉はお洒落ので、それを言っているだけで「仕事をしているつもり」になってしまう。でも、ワードを言っている間に、実際は1円の利益も生み出していないし、何も決まっていない。

 

言葉だけで人はついてこない。言葉に中身があってはじめて人がついてくる。上司が言う「あるべき姿」とは具体的に何か、それに沿った行動を普段の仕事でしているか。若い人はそこを見ている。

 

僕は学生時代、「これからの時代はコミュニケーション能力が大事だ」と色々な人から言われた。僕は嫌な人間だったので「じゃあ、

コミュニケーション能力とは具体的にどんな能力なんですか?」とよく聞き返していた。

 

僕が尊敬している人はこう語った。

「自分が思っていることを100%伝える事はできない。80%しか伝わらなくても、相手がそれを噛み締めて考えて、相手の中で120%になる。そんな風に伝える力、具体的には礼儀や語彙力や相手のことを想像する力こそ、コミュニケーション能力だ」

 

これが正解か間違っているかは重要ではない。その人は、僕の嫌な質問にも自分の言葉で答えを返せるぐらいの哲学を持っていた。僕はこの人は流行りのワードを語る人とは違う、本物だと気づいた。

 

「あるべき姿」「コミュニケーション能力」「DX」といった流行りのワードについて、原稿なしで自分の言葉で語れるくらいの哲学を持つことが、いつの時代のビジネスマンにも必要だと思う。